恋時雨~恋、ときどき、涙~

「会いたくて、どうにかなってまいそうやわ」


「幸……」


静奈はただひたすらに、幸を抱きすくめ続けた。


「なんで、あらしが病気にならなあかんかったんよ!」


わたしは、ただひたすらに幸の手を握り締め続けた。


幸は、ずっと、我慢ばかりしてきたのだ。


本当はこうして、泣きたかったのだろう。


でも、幸が無理にでも笑って過ごしていたことには、理由があった。


幸は涙をぼろぼろこぼしながら、言った。


「ほんまはまだ、受け入れられへんのよ。泣いてもうたら、認めることになるやんか。あらしが、もうこの世には居らんこと、うちは認めたくないんよ!」


うちの気持ち、あんたらには分からへんやろ、と幸はさらさらの髪の毛を振り乱して、わたしの手を思いっきり振り払った。


振り払われ手が痛くて、切なくて、わたしは唇を噛んだ。


「手なんか、握らんといて! うざいわ!」


幸が、怖い顔をして両手を強く動かした。


「なんやの! 手握って、そんなんで慰めてるつもりなん? 同情してるん?」


幸は人が変わってしまったかのように、冷たい表情でわたしに詰め寄った。