恋時雨~恋、ときどき、涙~

うん? 、と健ちゃんが困った顔をして首を傾げた。


「どうしたんけ? 不安で眠れないんじゃないのか」


もちろん、不安だ。


不安で不安で、眠れないほどなのだ。


でも、今さらになって健ちゃんと果江さんがどうこうなるんじゃないか、なんて思わない。


その不安なら、今日、解決した。


「一体、どうしたっていうんけ」


と健ちゃんはわたしに唇を重ねようとしたけれど、わたしはそれを拒んだ。


健ちゃんが目を細めながら、両手を遠慮がちに動かした。


「どうした?」


優しい月明かりが、わたしの両手を照らした。


もう、我慢の限界だった。


〈ひとつ、訊きたいことがある〉


「なに?」


健ちゃんの左右に振れる人差し指が、月明かりに照らされる。


わたしは、深呼吸をした。


そして、胸元に人差し指をあてた。


〈わたしと〉


健ちゃんの目を見つめながら、指差した。


〈健ちゃんに……〉


「うん」


健ちゃんが頷く。


「おれたちが、どうしたんけ」


〈限界は、あるの?〉


いつか、わたしと健ちゃんに、限界がやってくる日が来る?