恋時雨~恋、ときどき、涙~

手を繋いで病院を出ると、もうわた雪は止み、透き通った夜空が広がっていた。


不意にため息が漏れる。


それくらいきれいな星空だった。


運転する健ちゃんの横で、わたしは不安に押し潰されそうになっていた。


フロントガラスの向こう。


わた雪あがりの夜空に、優しい乳白色の下弦の月が輝いている。


もう、春が近い。


運転しながら、健ちゃんは無防備にあくびをしている。


もう、春が近いのに。


健ちゃん。


心の中で、呼んでみる。


健ちゃん。


わたしたちに、限界はあるの?











アパートへ戻り、簡単な食事を済ませて入浴も済ませ、わたしたちは眠ることにした。


同棲を始めてしばらく経つのに、わたしたちは別々の部屋で眠っている。


わたしは、健ちゃんの寝室でベッドを使わせてもらっている。


健ちゃんは隣の殺風景な部屋で、布団を敷いて眠る。


寝室に入り、ベッドに潜り込んでライトを消した。


この部屋の窓は西側にあり、小さくて、月明かりさえ入って来ない。


電気を消すと真っ暗で、暗黒の世界に浮かんでいるような気分になる。


今日、色々ありすぎたからなのだろうか。