恋時雨~恋、ときどき、涙~

小さく笑い飛ばしながら返すと、健ちゃんは「違うんけ」と首を振った。


「真央が、ちゃんと、笑ったから。安心したんけ」


わたしの顔を差す健ちゃんの人差し指が、少し、震えていた。


「ここ2、3日の真央、様子がおかしかったから」


ハッとした。


わたし、おかしかったのだろうか。


「果江が倒れた日から、真央、笑ってねんけ。気付いてた?」


分からなかった。


わたしは首を横にふるふると振った。


確かに、わたしはあの日から、毎日が怖くてたまらなかった。


ひとつ、物凄く恐ろしい不安ができてしまったから。


その不安を、わたしは健ちゃんには言えない。


言ったら、本当に現実になってしまうような気がしてならないからだ。


「不安だったんけな」


〈何が?〉


人差し指を左右に振り首を傾げると、健ちゃんは「いやあ」と照れくさそうに笑った。


「今、真央が果江と話してるって、さっき亘から電話きて。また、果江に何か言われて、真央が傷付いてたらどうしようって。本当に心配したんけな」


真央はすぐ顔に出すんけな、と健ちゃんは苦笑いをした。