恋時雨~恋、ときどき、涙~

でも、果江さんがすぐに頷くことはなかった。


涙をいっぱいに溜めた目で、不安そうな顔でわたしの手を掴んできた。


わたしも、果江さんに幸せになって欲しいと心から思った。


嘘じゃない。


だから、わたしは手紙に書かれていた一文を指差して、それを手話で伝えた。


I went to be happy for you.


〈ぼくは、ただ、きみと、幸せに……なりたい〉


4つあったメッセージの中で、特別、わたしの胸を締め付けた一文だった。


こんなにも短いのに、でも、これほどまでに気持ちがつまっているメッセージがあるだろうか。


ぼくは、ただ、きみと幸せになりたい。


他には何も望まないから、何も要らないから、ただ、果江さんと幸せになりたい。


彼がそう想って、この手紙に託したように。


わたしも、手話に託す。


〈ただ、幸せになって下さい〉


少しの沈黙があったあと、果江さんは静かに頷いた。


「私、もう一度、信じてみようかな。何度でも、信じてみようと思う」


果江さんの唇の動きを見届けて、わたしは頷いた。