恋時雨~恋、ときどき、涙~

「お母さんから?」


首を傾げた果江さんに、亘さんは微笑んだ。


「読めば分かるよ。果江の居場所が、見つかったよ」


そう言って、亘さんは紙を果江さんに手渡した。


「そこに書いてあるところが、果江の居場所なんじゃないのか」


「どういう意味?」


果江さんは折り畳まれた紙をゆっくり開き、目を落とした。


「もう……いや……」


果江さんは泣きながら紙に顔をうずめて、泣き崩れてしまった。


果江さんがあまりにも泣くものだから、わたしは心配でたまらなくなった。


果江さんの涙でしおれてしまいそうな紙に、何が書かれているのか気になった。


亘さんの手が、わたしの顔を扇いだ。


「真央ちゃん」


亘さんのこんなにも優しい目を見たのは、初めてだった。


「見て。せっかくの手紙が、果江の涙で溶けちゃうよ」


そう言って小さく笑いながら、果江さんが握り締めていた紙を亘さんはわたしに見せてくれた。