果江さんの唇を読んで、それなら、とわたしはボールペンを握った。
【わたしは果江さんになりたい】
「どうして?」
果江さんが表情を歪ませた。
「こんな身体じゃ……」
と果江さんは胸元を押さえた。
「こんな心臓じゃ、何もできないのよ。発作は起きるし、死んだ方がましってくらい、苦しいのよ」
薬もたくさんあるし、手術もたくさんした。
身体に手術の跡が残るの。
好きな人が呼んでいても、走って行くことすら叶わないのよ。
「それでも、あなたは私になりたいと思うの?」
わたしは、果江さんの目を見つめて頷いた。
なりたい。
それでも、なれるものなら、果江さんになりたい。
【でも、好きな人の声が聴ける
いろんな音をきいてみたい
この世界にある音
全部
きいてみたい】
メモ帳を見せながら、わたしは確信した。
わたしは、果江さんを嫌いなわけではなかったのだ。
苦手なわけでなければ、心から怖いわけでもなかった。
ただ、羨ましかっただけだ。
好きな人の声が聴けて、好きな人に言葉で想いを伝えることができる果江さんが羨ましかったのだ。
【わたしは果江さんになりたい】
「どうして?」
果江さんが表情を歪ませた。
「こんな身体じゃ……」
と果江さんは胸元を押さえた。
「こんな心臓じゃ、何もできないのよ。発作は起きるし、死んだ方がましってくらい、苦しいのよ」
薬もたくさんあるし、手術もたくさんした。
身体に手術の跡が残るの。
好きな人が呼んでいても、走って行くことすら叶わないのよ。
「それでも、あなたは私になりたいと思うの?」
わたしは、果江さんの目を見つめて頷いた。
なりたい。
それでも、なれるものなら、果江さんになりたい。
【でも、好きな人の声が聴ける
いろんな音をきいてみたい
この世界にある音
全部
きいてみたい】
メモ帳を見せながら、わたしは確信した。
わたしは、果江さんを嫌いなわけではなかったのだ。
苦手なわけでなければ、心から怖いわけでもなかった。
ただ、羨ましかっただけだ。
好きな人の声が聴けて、好きな人に言葉で想いを伝えることができる果江さんが羨ましかったのだ。



