恋時雨~恋、ときどき、涙~

泣き崩れる果江さんの肩を叩き、メモ帳を差し出した。


【今でも好きですか?】


「いいえ」


メモ帳を見た果江さんは、ふるふると首を振った。


「あいしてる」


わたしの胸は、業火に焼かれたようにぐっと熱くなった。


「好きなんて言葉じゃ足りないわ。あいしてるの」


わたしは、胸の底から込み上げるものを堪えながら、果江さんの手にそっと触れた。


そして、メモ帳にボールペンを滑らせた。


【大丈夫】


果江さんが首を傾げる。


「大丈夫? 何が?」


【まだ間に合う】


「もう無理よ、遅いわ」


わたしは首を横に振って、ボールペンを握り直した。


【遅くない
 まだ何もしていない】


「何言ってるのよ……私たちは、もう終わってるのに」


と果江さんは、私を睨んだ。


「終わった事なのに、今さら、何をどうしろって言うの?」


【その想いを、隆司さんに伝えて下さい】


〈あいしてると、伝えて下さい〉


気付くと、わたしはメモ帳とボールペンを置いて、何かに取り付かれたように両手を動かしていた。


〈あいしてると、伝えて下さい。あいしてると、伝えて下さい。あいしてると……伝えて下さい〉