恋時雨~恋、ときどき、涙~

「すぐにでも、やり直したかった。でも、いずれ、また限界がくる。だから、私は隆司の手を振り払った」


『もう、無理よ』


ぼろぼろと大粒の涙を流しながら、果江さんは話し続けた。


手を振り払った果江さんに、隆司さんは一枚の封書を渡したらしい。


『さよなら、果江』


そう言って。


去って行く隆司さんの背中を振り切って、果江さんは空港へ向かい、あの日の便に飛び乗った。


離陸直後の飛行機の中で封書を開くと、一枚のポラロイド写真が入っていた。


「それが、これ」


と果江さんはパスポートに挟んである、ポラロイド写真を手にした。


「これ、移植手術の前日のものよ。担当ナースのジェシカが撮ってくれたの」


ジェシカとは友達のように仲良しだった。


病院内で、私と隆司が付き合ってることを知っていたのは、ジェシカだけだった。


ジェシカは美人なの、と果江さんは懐かしそうに目を細めた。


「この写真を撮った直後に、隆司が言ったの」


そう言って、ポラロイド写真を裏返した。


わたしは、目を大きくした。


写真の裏面に、何か文字が綴られてあった。