恋時雨~恋、ときどき、涙~

アメリカの病院だろうか。


まるでお城のような、白く清潔な建物。


突き抜けるような青空。


街路樹のように立ち並んでいる、深緑の木々。


その中でもいちばん大きな一本の木の下の白いベンチに座って、寄り添っているふたり。


短髪の黒髪にシンプルな眼鏡。


しわのない白衣。


吸い込まれそうな端正な顔立ちの男の人を指差して、果江さんは笑った。


「この人が、隆司。歳は、32歳。若く見えるでしょ?」


わたしは頷いた。


32歳には見えない。


20代半ばくらい、若く見えた。


「慣れない土地で不安と孤独でいっぱいだった私と、学生時代に病気で彼女を失った隆司が、恋に落ちるまで、そう時間はかからなかった」


彼は、医学生時代に、彼女を亡くしているらしかった。


悪性リンパ腫、というガンだったそうだ。


「隆司は、いつもそばにいてくれた。私も、どんどん惹かれて好きになっていった」


その頃、ようやく、果江さんにドナーが現れ、検査の結果臓器が適合し、移植手術が決まった。


移植手術は隆司さんの執刀で行われ、成功した。


そして、大きな拒否反応も感染症もなく順調に回復していく中で、果江さんは決意した。