恋時雨~恋、ときどき、涙~

「わたしと関わる人は、みんな苦労する。みんなに迷惑ばかりかけてしまうから」


わたしは首を振った。


そんなことない。


そう言葉に出して伝えることができたら、どんなにいいだろうか。


「だから、健ちゃんと別れて、亘とも縁を切って、自由にしてあげようと思った。もう、日本へは戻らないつもりだったのに」


わたしは、とても怖くなった。


果江さんが壊れてしまうんじゃないかと、不安になった。


だから、小刻みに震える果江さんの両手を握り締めた。


「なぐさめてくれてるの?」


果江さんは、わたしの手を振り払うようなことはしなかった。


なんてかよわい手を、果江さんはしているのだろう。


「アメリカに、わたしの居場所はなかった」


そう言って、果江さんはわたしの手を握り締り返してきた。


だから、亘や健ちゃんや汐莉が居る日本へ戻れば、私の居場所があるんじゃないか。


そう思ったから、帰って来ることにした。


「でも、違った。戻ってみると、アメリカよりも居場所はなかった」


強い強い瞳に、涙が滲んでいる。


「もう……無くなってた」