恋時雨~恋、ときどき、涙~

〈どうして、そう思うの?〉


「ほんまに嫌うてんのやったら、話したいなんて言うて来んわ。ほんまに嫌うてんのやったら、話どころか顔も見たくないもんやろ?」


妙に納得してしまった。


「何や、真央に話したいことがあるんや、きっと。他の誰でもない、真央と話したいんや」


そうなのだろうか。


わたしは小首を傾げてしまった。


腑に落ちないわたしの様子に反応したのか、幸はさらに続けた。


「真央かて、せやろ? ほんまに嫌うてないから、必死になったんやろ? 助けたかったんやろ? ちゃうの?」


幸の手話は、なぜだかわたしの心に深く深く染み渡った。


3日前、アパートの玄関で倒れていた果江さんを見付けた時、助けたいと思った。


それは、嘘じゃない。


幸がわたしの顔を扇いだ。


「私な、なんとなく思うんやけど」


〈なに?〉


「果江さんて、真央から彼氏取り戻しに戻って来たと思えんのや」


わたしは固まった。


「何か、また別の理由があるんちゃうかなて、思うんやけど」


なぜそう思うのか理由を訊くと、幸は「それは分からん、女のカンやで」と小さく笑った。