恋時雨~恋、ときどき、涙~

そして、ひとつ、ため息を落として、わたしの肩を叩いた。


「真央は苦労が絶えん女やなあ」


わたしは苦笑いをした。


本当に。


一難去ると、すぐにまた一難がやってくる。


まるで、そこに待ち構えていたかのように、すぐに。


幸は再びわたしのスマホを手にした。


亘さんから送られてきたラインメッセージを、幸は何度も何度も大きな瞳で読み返す。


そして、わたしの顔を扇いだ。


「ほんで、真央はどうなん? どうしたいん?」


幸に訊かれて、わたしは背中を丸めた。


〈分からない〉


できることなら、行きたくはない。


けれど、話したいこと、が知りたい。


でも、行きたくはない。


「うちやったら、行くけどなあ」


せやのに、真央は何を血迷ってんねや、と幸は首を傾げて不思議そうにしている。


〈迷わない? どうして?〉


わたしが身を乗り出すと、幸はスマホを机に置いて頷いた。


「せや。迷わん。迷ってる真央はおかしいわ」


〈おかしい?〉


「せや」


〈迷わず行こうと思える幸の方が、おかしい〉


早口のようにハイスピードで手話をすると、幸は豪快に笑った。