恋時雨~恋、ときどき、涙~

呆然としていると、肩を叩かれた。


ハッとして振り向くと、静奈だった。


「ごめん、真央」


と静奈は両手を合わせながら、申し訳なさそうに眉毛を八の字にさせていた。


〈どうしたの?〉


首を傾げてみせると、静奈は肩をすくめた。


「今日、一緒に帰れなくなった。お母さんに用事頼まれて、これからお祖母ちゃんの家に行かなきゃいけなくて」


〈大丈夫。気にしないで〉


「本当にごめんね」


ううん、と首を振ると、静奈は急いでいる様子で慌てて鞄を持ち、教室を出て行った。


どうしよう。


これで、静奈には相談できなくなってしまった。


どうしよう。


どうすればいいのだろう。


話したいと言われたって、一体、何だというのだろう。


考え過ぎて、頭の中がぐちゃぐちゃにかき混ざり始めた時、幸が人差し指でわたしの眉間をひと突きした。


「あかん。めちゃめちゃブスやで」


え、と首を傾げてみせると、幸は吹き出して笑った。


「眉間に深いしわが寄っとったで」


わたしはとっさに眉間を指でさすった。