恋時雨~恋、ときどき、涙~

果江さんのお母さんは、想像通り美人だった。


すらりとした長身で、清楚な女性だった。


宿泊先のホテルから慌てて駆け付けたらしかった。


果江さんのお母さんを見たとたんに、亘さんは幼い少年のような顔つきになって泣き崩れた。


その日、果江さんの意識は戻ることはなく、わたしたちは帰宅することになった。


病院を出ようとした時、


「真央さん」


と果江さんのお母さんが、大きな口で、わたしに微笑みながら言ってくれた。


「あなたが居てくれて、良かった」


ありがとう、そう言って、果江さんのお母さんはもう一度笑った。










果江さんの意識が戻ったことを知ったのは、翌日の午後だった。


亘さんからのメールで知った。


そして、果江さんからじきじきに呼び出しを受けたのは、さらに2日後の夕方だった。


青空になごり雪がちらつく、そんな冬の終わりが近いと予感する日。


この日、わたしは、果江さんの本当の気持ちを知ることになった。


突然帰国してきた本当の理由を知ることになったのだ。


講義を終えて、鞄にルーズリーフと筆記用具をしまっていると、右隣に座っていた幸に肩を叩かれた。