恋時雨~恋、ときどき、涙~

だんけな、と必死に、まるで亘さんをかばうようなその両手にそっと触れて、わたしは笑った。


〈大丈夫。分かってる〉


わたしが頷いてみせると、健ちゃんは豆でっぽうをくらったような顔でわたしを見つめた。


〈亘さんが、本当は優しいこと、分かってる。気にしていない〉


「真央」


〈大丈夫。平気〉


「参ったんけ」


健ちゃんは困ったような面持ちで、笑った。


そして、わたしの髪の毛を静かに撫でてくれた。


健ちゃんの手のひらは、いつにも増して優しい温度だった。


「真央は、本当に強い女だんけ。びっくりする」


違う。


強いわけじゃない。


強がってみただけだ。


本当は、泣きたい。


亘さんに言われた言葉たちは、やっぱりわたしには少々痛かった。


気にしていないといえば、大きな嘘になる。


ただ、分かっている。


亘さんを守った、果江さんも。


果江さんを守ろうと必死になる、亘さんも。


ふたりを見守る、健ちゃんも。


ただ、みんな、大切な人を守りたくて必死なだけだということを。


窓の外で、冬の時雨が雪に変わり始めていた。


19時を回った時、果江さんのお母さんが病院に駆け付けた。