恋時雨~恋、ときどき、涙~

果江さんは、帰ったのだろうか。


この雨の中を。


わたしは部屋の鍵を開け、ドアをそっと開けてリビングを覗いた。


果江さんが帰ってくれていたらいいのに、と半分。


果江さんが帰っていなければいい、と半分。


思いながら。


リビングはがらんとしていた。


帰ったのだろう。


そこに、果江さんの姿はなかった。


急に不安になった。


完全に冷めてしまった紅茶が入っているカップが2セット、同じ位置にあるだけだ。


がらんとしたリビングをぐるりと見渡して、わたしは後悔した。


後悔してからでは遅いのに。


どうして、わたしは誰かの話を冷静にきくことができなくなる事があるのだろう。


わたしのいちばんだめなところだ。


リビングの窓から外を見下ろした。


人影はない。


果江さんは傘を持って来ていなかった。


ずぶ濡れかもしれない。


心臓が弱いのに。


わたしが一方的に追い返してしまった。


どうしよう。


果江さんが風邪でも引いてしまったら。


どうしよう。