恋時雨~恋、ときどき、涙~

どんなに好きでも、どんなに愛していても、必ず、限界が来るから。


わたしは、果江さんを睨み付けた。


わたしがここまで興奮したことには、理由があった。


少なからず、わたしの気持ちの片隅にその不安があったからだ。


その不安が消える日は1日だってなかった。


いつか、限界が来るんじゃないかと。


「あなたは健ちゃんを苦しめているの。あの頃の私と同じ。私も、健ちゃんを苦しめていた」


果江さんは泣き出してしまった。


わたしは、果江さんを睨むことをやめた。


泣いた果江さんに同情したわけではない。


ただ、そうかもしれないと思ったからだ。


わたしは、知らず知らずのうちに、健ちゃんを苦しめているのかもしれない。


そう思ったからだ。


「あなたと私は似てる。私は病気を、あなたは障害を抱えてる。あなたなら、わたしの気持ち分かるでしょ?」


と果江さんはわたしの肩に手を置いた。


「どんなに頑張っても、私たちには限界があるの。私たちと健康な人は、住む世界が違い過ぎる」


分かりたくもない。


それなのに、分かってしまう自分が嫌でたまらない。


わたしは肩に置かれた果江さんの腕をこっぴどく払いのけた。