恋時雨~恋、ときどき、涙~

鋭い目付きで、わたしを睨んできた。


「健康な人と、病気や障害を抱えている人間が、うまくいくわけない! 必ず、限界が来る」


果江さんの唇を読んで、わたしはありったけの力で首を振った。


そんなことない!


健ちゃんは、人をそんなふうに見たりする人じゃない!


耳が聴こえない真央でいいと、健ちゃんは言ってくれた。


限界なんてない。


限界なんてない!


わたしは、果江さんを両手で突き飛ばした。


果江さんがよろめきながら体勢を整えた。


「何するのよ!」


果江さんが怒っているのが分かった。


わたしはネジが外れて狂ったように、両手を動かした。


〈わたしは、健ちゃんを信じてる! 限界なんて、ない!〉


果江さんが目を点にして首を傾げた。


無理もないことだ。


果江さんに手話は通じない。


「あなたが何を言ってるのか分からない! でも、きいて」


果江さんは言った。


絶対、限界が来る。


病気を抱えているわたしと、健康な健ちゃんに限界があったように。


悲観的なわたしと、勇敢的なリュウジに限界があったように。