恋時雨~恋、ときどき、涙~

そろそろ、順也と静奈が来る頃だ、なんて。


「私と健ちゃんに、限界があったように。私と……リュウジに限界がきたように。あなたと健ちゃんにも、いずれ必ず、限界が来るから」


もう、やめて。


そんなこと、果江さんに言われたくない。


ききたくない。


だって、そんなこと、わざわざ言われなくても……。


わたしは、テーブルを両手で思いっきり叩いて、果江さんを睨み付けた。


たぶん、大きな音が出たのだと思う。


果江さんが驚いた顔をして、体をびくりとさせたからだ。


床に転がったボールペンを拾い上げる。


乱暴に、乱雑な字でメモ帳に書いた。


【帰ってください】


目を丸くした果江さんから目を反らして、わたしは立ち上がった。


夕飯の支度が途中だった。


いけない。


果江さんにかまっている場合じゃない。


やらなきゃ。


キッチンへ向かおうとした時、果江さんに腕を掴まれた。


「あなた、逃げようとしてる」


してない!


心の中で、わたしは大声で叫んだ。


喉が裂けてしまいそうなほど、心の中で叫んだ。


ぶっきらぼうに果江さんの手を振り払う。


でも、果江さんは絶対に離そうとしなかった。