恋時雨~恋、ときどき、涙~

『例えバレても、真央はちゃんと分かってくれるんけ。おれは真央を信じてる』


「悔しかったな。ふたりの絆は固いんだって。悔しかった」


あの日の夜のことを教えてくれた果江さんを、わたしはどうしても敵だとは思えなかった。


同時に、健ちゃんに会いたくてたまらなくなった。


健ちゃんを、どうしようもないほど好きなんだと、思い知らされた。


急に泣きたくなって、わたしはうつ向いた。


うつ向いた時に気付いた。


もう、紅茶が冷めきっていた。


入れ直そうと思い、果江さんを見つめると、果江さんは窓の外、遥か彼方を見つめていた。


とても美しい横顔に、わたしは目を奪われた。


前髪の隙間からのぞく、気の強さを表す眉毛の形。


マスカラもしていないのに、長い睫毛。


通った鼻筋。


不意に、果江さんの唇が動いた。


私も、素直になれていたら。


何があっても、ちゃんと信じることができていたら。


私も。


本当の気持ちをリュウジに伝えることができていたら。


わたしはハッとした。


ハッとしたのと同時に、果江さんの唇を凝視した。


「もっと、リュウジとの絆が強かったら」