恋時雨~恋、ときどき、涙~

わたしが、健ちゃんの誕生日に置き手紙を見付けた日のこと。


「この前、亘に叱られちゃった。置き手紙なんかして、ふたりを惑わすようなことするなって」


ピンときた。


おそらく、あの日にわたしたちがケンカしたことを、健ちゃんは亘さんにこぼしたのだろう。


思い出すと、やっぱり胸が傷んだ。


うつ向いたわたしの肩を、果江さんが叩く。


「私、あなたのことは好きじゃないし、まだ認めてない。でも、誤解させたなら申し訳ないと思って。だって、フェアじゃないじゃない」


わたしは、単純で甘いのだろうか。


いや、違う。


わたしは果江さんを誤解して、勝手に決め付けていたのではないだろうか。


自己中心的で、わがままで、つんけんしていて、意地悪な人だ、と。


でも、本当は違うんじゃないかとこの時に直感した。


ただ、素直なだけなんじゃないか。


本当に意地悪な人なら、申し訳ないなんて思わないんじゃないだろうか。


根は素直で、ただ、ストレートな性格なだけなんじゃないだろうか。


そう、思った。