恋時雨~恋、ときどき、涙~

「亘から聞いたの。健ちゃんが、あなたと同棲を始めたって」


本当かどうか、確認しに来た、と果江さんは言った。


それと、あなたと話したいことがある、と言った。


固まるわたしに、果江さんは冷たく微笑んだ。


「そんなに驚くことないじゃない。上がってもいい?」


どうしよう。


どうすればいいのだろう。


もうじき、静奈と順也がここへ来るのに。


頷くことも首を振ることもしないわたしを見て、果江さんは少し不機嫌になったようだ。


眉間にしわを寄せている。


「長居はしないわよ。わたしだって、あなたのこと好きじゃないもの。それより、寒いの。上がっていい?」


だめ。


絶対に嫌。


だなんて、まさか追い返すことなんて、わたしにはできなかった。


3月といっても、やっぱり外はコートなしでは凍えそうなほど寒い。


果江さんが微かに震えていた。


相当さむかったのか、果江さんの唇は仄かに青ざめていた。


わたしは頷いて、果江さんにスリッパを差し出した。


「ありがと。おじゃまします」


気の強さがオーラに滲み出ているのに、果江さんのしぐさはとてもしなやかで古風だ。