恋時雨~恋、ときどき、涙~

「ぼけっとして。風邪ひくんけ。早く入ろう」


わたしは頷いて、健ちゃんのすぐ後ろを歩いた。


4階までのらせん階段をぐるぐる回りながら上った。


部屋の前で止まり、健ちゃんが鍵穴に鍵を差し込む。


今日から、ここが、わたしの家でもある。


ドアが開く。


先に健ちゃんが中に入った。


わたしも入ろうとした時、健ちゃんはにたりと笑って、突然、ドアを閉めてしまった。


わたしは外に放り出された状態になった。


また、得意のいたずらが始まった。


わたしは、呆れながらドアノブを回した。


あれ……。


何度かドアノブを回してみたけれど、開かない。


どうやら、健ちゃんは中から鍵をかけてしまったらしい。


わたしは頭にきた。


いたずらにもほどがある。


インターホンを連打し、ドアを何度も何度も強く叩いた。


でも、いっこうに開く気配がない。


とうとう本当に頭にきたわたしは、バッグを探り始めた。


合鍵で開けて入ってやる。


それで、健ちゃんを小突いてやろう。


バッグの中を引っ掻き回している時だった。


ドアノブがゆっくりと回り、ドアが開いた。