恋時雨~恋、ときどき、涙~

それからの2週間は、目まぐるしく過ぎて行った。


目が回るほど、忙しかった。


お父さんとお母さんは転勤の手続きや入院の手続きで、何度か東京へ行ったり来たり。


荷物を東京へ送ったり、引っ越しの準備もあって、家は休まる時間がないほどだった。


わたしも学校が始まった事と平行して、アパートへの引っ越しの荷造りなどに追われた。


2週間で、家は少し殺風景になった。


そして、お父さんとお母さんの出発の日がやってきた。


わたしは短大を休み、健ちゃんも仕事を休んで、お父さんとお母さんの見送りに出掛けた。


冬の駅のホームは、うっすらと粉雪が降り積もっていた。


朝 8時6分


北風が緩く吹き抜けるホームに、新幹線が滑り込んできた。


〈忘れ物はない?〉


わたしが訊くと、お母さんは可笑しそうに笑った。


「大変! 忘れ物しちゃった」


わたしは呆れ顔でため息をついた。


〈おっちょこちょいなんだから! 何を忘れたの? 後で送ってあげる〉


もう! 、とわたしがあたふたすると、お母さんはわたしを強く強く抱きしめた。


そして、手話をした。