恋時雨~恋、ときどき、涙~

〈3年間、よろしくお願いします〉


わたしが頭を下げると、


「え」


と健ちゃんは目を大きく見開いて、固まってしまった。


〈健ちゃん?〉


健ちゃんの顔を扇いで、わたしは首を傾げてみせた。


健ちゃんが、わたしの右手を掴んだ。


「ごめん。お願いします、って……」


わたしは笑った。


〈3年間、お世話になります〉


もう一度、一礼すると、健ちゃんはお母さんとお父さんを見つめて、また固まってしまった。


「あの、どういう」


「ご迷惑おかけします。真央を、お願いします」


とお母さんは深々と頭を下げ、


「よろしく頼みます」


とお父さんは健ちゃんの手を握った。


健ちゃんはわたしに向き直り、訊いてきた。


「これが、真央の出した答えなのか?」


わたしは、頷いた。


「本当にいいのか、それで」


もう一度、しっかりと頷いた。


〈よろしくお願いします〉


「そっかあ」


健ちゃんがぱっと笑顔になった。


「おれ、命懸けで真央を守る。全力で支えるんけな」


〈大げさだよ〉


わたしが笑うと、健ちゃんは人目も憚らずわたしを抱きしめた。