恋時雨~恋、ときどき、涙~

そして、社会人になって。


おかえり!


胸を張って、お母さんに笑えるようになっている。


そう、約束をした。


こんなに簡単に答えを出すような問題じゃない事は分かっている。


でも、わたしはそう決めた。


わたしは、お母さんに小指をつき出した。


お母さんも、わたしの小指に小指を絡めてきた。


約束、ね。


約束を交わし、笑顔を交わしたあと、お母さんがわたしを抱きしめてくれた。


シチューが少し焦げた香りに包まれながら、わたしとお母さんは泣いた。












その夜、静奈を家に送り届けたあと、健ちゃんが家に来た。


お父さんが呼んだのだ。


リビングに、やや緊張した空気が充満していた。


お母さんとお父さんが座っている正面に、わたしと健ちゃんが並んで座った。


テーブルにコーヒーカップが4つ並んで、おぼろげな湯気とほろ苦い香りが立ち込めている。


わたしは、隣に座っている健ちゃんの肩を叩いた。


健ちゃんが緊張した面持ちで、わたしを見た。


わたしは、お母さんとお父さんを見つめて、ひとつ頷いたあと両手を動かした。