恋時雨~恋、ときどき、涙~

「寂しいだろうなあ。真央が居ない毎日は、きっとつまらない。とてつもなく」


〈それでも、わたしに、ここに残れと言うの?〉


お母さんは、すぐに頷いた。


「残りなさい。お母さんが帰ってくるまで、健ちゃんと暮らして、待っていて欲しい」


非常識な親で、ごめんね、とお母さんは添えた。


「でも、それが、真央にとっていちばんいい形だと思ったのよ」


〈健ちゃんと暮らすことが? ここに残ることが?〉


「馴れない土地でまた一から始めるよりも、ここで成長した方がいいと思ったのよ」


どうせ、3年後には戻って来るのだから、と。


わたしは、お母さんの瞳を見つめた。


泣きっ面の情けない自分の顔がはっきりと映って見えた。


わたしは、頷いた。


〈……分かった〉


頷くしかなかった。


お母さんが少し驚いた顔で、わたしを見つめた。


〈待ってる。お母さんが笑顔で帰って来るの、待ってる〉


病気が治って、また元気なお母さんと胸を張って再会できるように、わたしはこの町で成長していなければいけない。


短大をきちんと卒業して、栄養士の資格をとる。