恋時雨~恋、ときどき、涙~

素直に、単純に、ショックだった。


同時に、猛烈に恐ろしくなった。


でも、お母さんは優しい目をしていた。


「お母さんの病気は、乳ガンです」


お母さんは笑っていた。


「でもね、本当に初期の段階で、手術をすれば治る。ただ、少し難しい場所にガン細胞があるだけ」


と、お母さんはとても穏やかな表情で教えてくれた。


乳ガンは5期に分けられていて、お母さんは0期だということ。


しこりというものが認められず、リンパ節への転移もないということも、診断書には記載されてあった。


乳房温存療法


その言葉をわたしが指差すと、お母さんは微かに微笑んだ。


「そう。乳房を切除しなくてもできる、手術法なんだって」


お母さんの説明をきいているうちに、わたしの気持ちは少しずつ穏やかさを取り戻していった。


手術後の生存率は、健康な人とほとんど変わりないと記載されているのを見て、ようやく、わたしは胸を撫で下ろした。


一気に力が抜けて、わたしは床に座り込んだ。


〈手術がうまくいけば、大丈夫ってことなんだよね?〉