恋時雨~恋、ときどき、涙~

「それが、真央の出した答えなら、ぼくは応援しようと思う。笑って、見送るよ」


わたしが手話をするまえに、順也は右手をつき出して「でも」と続けた。


「ぼくの正直な気持ちを言ってもいいかな」


わたしは頷いた。


「でも、だからと言って、流されないでね。最後に答えを出すのは、真央なんだから」


そう手話をしたあと、順也は涙ぐんだ。


「本当は寂しいよ。真央が東京へ行ってしまったら。そう考えると、悲しい」


順也の両手が、遠慮がちに動く。


「例えば。ぼくの部屋の窓と、真央の家のリビングの窓。あの空間が、ぼくは大好きなんだ」


窓を開け放って夜空の下で空を見上げながらする、真央とのくだらない内容のやりとりが、好きなんだ。


「東京へ行くなとは言えない。でも、とてつもなく寂しいよ。真央は、ぼくの大切なたったひとりの幼馴染みなんだ」


わたしにとっても、同じだ。


順也の両手が、ゆっくりと動いた。


「正直。行かないで欲しい。真央には、ここに残ってほしい」


わたしは、やっとの思いで涙を飲み込んだ。