恋時雨~恋、ときどき、涙~

「ごめんね。真央。ぼくは全部しっていたんだ。隠していたわけじゃないけど、ごめんね」


順也が、全部教えてくれた。


2週間前から、健ちゃんの様子がおかしかったことの理由も、そのいきさつも。


「健太さんが、ぼくに相談してきた。どうすることが、真央にとっていちばんいいのかって」


2週間前、健ちゃんは果江さんが入院している病院に行ったらしかった。


アメリカに戻って手術を受けるように、説得しに。


その時、ぐうぜん病院のロビーで、健ちゃんは会ってしまったのだ。


泣いているわたしのお母さんと、その肩を抱きながら歩くわたしのお父さんを。


声を掛けてきた健ちゃんに、お父さんが言ったらしい。


「来月になったら、東京へ引っ越すことにした。家内が、乳ガンの手術を受けることになった」


まだ初期の段階なのだけれど、少し難しい場所に病気が見つかった。


だから、専門の先生にお願いすることにしたのだ、と。


お父さんが自ら東京の本社へ転勤願いを出したことも。


そして、その転勤は3年という期限があって、いずれまたこっちに戻って来ることも。