恋時雨~恋、ときどき、涙~

中学を卒業したら、県外の盲学校へ行かないかという話が持ち上がった日だ。


泣きじゃくって、行きたくないと順也にすがった。


血は繋がっていないけれど、それでも、順也はわたしのお兄ちゃんのような存在だから、どうにかしてくれるんじゃないかと思ったからだ。


そして、あの日、順也はわたしの両親に頼み込んでくれた。


真央を連れて行かないで、と。


順也はタオルでわたしの顔を何度も何度も執拗に拭き続けた。


「泣きたい時は、しっかり泣いて。ぼくは、真央の泣き場所だから。遠慮することはないからね」


わたしは泣いた。


順也の前だと、思う存分泣けた。


わたしの涙が少し引けるまで、我慢強く、順也はひたすらに待ってくれた。


本当はバスケットボールの練習に参加したいはずなのに、嫌な顔ひとつせず、待ってくれた。


少し落ち着きを見せたわたしの肩を、順也がそっと叩いた。


「全部、知ってしまったんだね。健太さんが家に行っただろ? 一緒に暮らそうって」


わたしは目を丸くした。


驚いた。


順也が少し肩をすくめて両手を動かす。