恋時雨~恋、ときどき、涙~

空はどんどん容赦なく暗くなっていく。


気温もどんどん冷たさを増し、わたしの体温を奪おうと牙をむく。


それでも、わたしは走り続けた。


後ろから、静奈が泣きながら追いかけて来ていた事にすら気付かず、わたしは走り続けた。












雪景色の河川敷を駆け抜け、到着したのは街のトレーニングセンターだった。


藁にもすがる思いで、わたしはその重いドアを押し開けた。


館内は眩しい程の明かりが漏れていて、コートを車椅子に乗った人たちが生き生きと駆け抜けていた。


その中に、順也もいた。


肩で息をしながら、練習中の順也にわたしはしがみついた。


順也のチームメイトたちが動きを止めて、息を呑んでいるのが分かった。


痛いほどの視線を浴びるのも、無理はない。


わたしは汗と涙でぐちゃぐちゃの顔をして、順也の前に立っていたのだから。


スポーツ用の車椅子のブレーキをかけて、順也が肩をすくめた。


車椅子の背中のポケットからタオルを引っ張り出し、順也がわたしの顔を拭いてくれた。


「真央。どうしたの? 何で泣いているの?」