それから1週間、健ちゃんからの連絡は一切なかった。
わたしから連絡をとるような事もしなかった。
人間という生き物は不思議なもので、初めは不安で苦しくてどうしようもないのに、2週間も経つとそれが普通に思えてくる。
麻痺してくるのだ。
わたしの中で、健ちゃんから連絡が無い事は、あまり前のことになりかけていた。
そして、同時に、わたしも深く考えないようにしていた。
明日から学校が始まるという日の夕方のことだった。
遊びに来ていた静奈とケーキを食べていた時、わたしの人生が大きく方向転換し始めていた。
ガトーショコラヲ小さくすくい、一口頬張りながら、わたしは窓の外を見つめた。
似てる。
曖昧なところが、そっくり。
口の中に広がるほろ苦くて甘い、ショコラの香り。
窓の外は、今にも泣き出しそうなソラアイが広がっている。
ガトーショコラの甘さと苦さ。
それから、曖昧なソラアイ。
似ている。
まるで、今のわたしと健ちゃんの関係みたいだ。
付き合っているのに、連絡すらとらない。
好きなのに、あの日ケンカをしたまま。
ぼんやりと空を見上げていると、静奈がわたしの肩を叩いてきた。



