恋時雨~恋、ときどき、涙~

心配になって静奈の隣に座ろうとした時、また、ランプが点滅した。


ドアが開く。


入って来たのは今度こそお母さんで、にっこり微笑んでいる。


わたしと静奈の分のシュークリームと、冷たいジュースを持ってきてくれたのだ。


「ゆっくりしていってね」


静奈にそう言い、お母さんはそそくさと部屋を出て行った。


わたしが、ジュースの入ったグラスを差し出すと、静奈はありがとう、と手話をしてそれを一気に飲み干した。


尋常ではない静奈の行動と仕草に、わたしは少しうろたえた。


〈どうしたの?〉


もう一度、わたしが訊くと、静奈は首を振って微笑んだ。


「急に、真央に会いたくなった。それでね、飛んできた」


そう手話をして、静奈は車のハンドルを握るジェスチャーをした。


わたしは笑った。