恋時雨~恋、ときどき、涙~

「そっか」


でも、珍しいことに、お母さんがケンカの理由を訊いてくることはなかった。


あっけらかんとして、無邪気に笑った。


お母さんは、わたしの背中を手のひらで叩き、思いっきり笑った。


「そういう日もあるわよ」


わたしは拍子抜けした。


「付き合っていれば、ケンカのひとつやふたつ、あるものよ」


だって、付き合ってるんだもの、とお母さんは言った。


わたしは、お母さんの両手をじっと見つめた。


「お母さんと、お父さんは、運命のひと同士なの」


お母さんが、とても可愛らしい少女に見えた。


〈運命のひと同士?〉


「そうよ」


人と出逢う確率が100あるのなら。


人を好きになる確率は、10。


その中で想いが通じ合える確率は、5。


その中で付き合える確率は、3。


別れる確率は、2。


それから、好きが愛に変わる確率は、1.5。


人を愛して、結婚する確率は1で、運命なのよ。


お母さんは、そう言って笑った。


「だから、頑張るしかないのよ。真央」


〈頑張る?〉


お母さんが頷いた。