恋時雨~恋、ときどき、涙~

「それでも、おれは、真央一筋だ」


目頭が急激に熱を帯びた。


赤道直下くらい、高温だった。


わたしは、プレゼントを小脇にかかえてゆっくり手話をした。


〈それなら、ここに来るななんて言わないで。わたしは、毎日でも、健ちゃんに会いたい〉


わたしの、精一杯の素直だった。


毎日、その腕に抱きすくめてもらいたい。


いつも、ふたりで笑っていたい。


でも、健ちゃんは頷いてはくれなかった。


「ごめん。必ず、絶対、連絡する。待っててほしんけ。お願いだんけ」


惨めだった。


ひどい孤独感に、わたしは打ちのめされた。


わたしの家は、このアパートからすぐ近くなのに。


会おうと思えば、毎日でも会える距離なのに。


下を向くわたしの顔の前に、健ちゃんが右手の小指を突きだしてきた。


わたしが顔を上げると、健ちゃんの唇がゆっくり動いた。


「約束、だんけ。連絡するんけな」


健ちゃんの唇を読み取ったわたしは、冷静を失っていた。


なにが、約束だ。


激しい感情のせいで、目の奥がぐるぐる回った。


わたしは、健ちゃんを睨み付けてプレゼントを投げつけた。


プレゼントは、健ちゃんの右肩に強くかすり、床に落ちた。