恋時雨~恋、ときどき、涙~

でも、健ちゃんはただ「ごめん」と謝るばかりだった。


わたしの思い付くことは、ひとつだけだった。


果江さんだ。


やっぱり、果江さんが関係しているのだと、それしか頭になかった。


わたしは、本当に何も分かっていなかったのだ。


健ちゃんが忙しそうな「ふり」をしている、本当の理由を。


健ちゃんが言った。


「必ず、言うんけ。連絡する。だから、待ってて。それまでは、ここには来ないで、できるだけ家にいたほうがいんけ」


そう手話をして、ごめん、と健ちゃんは添えた。


わたしは、健ちゃんを突き飛ばしてキッチンに駆け込んだ。


急いでコートを羽織り、鞄を抱えた。


その時の衝撃で、鞄から健ちゃんへの誕生日プレゼントが床に落ちてしまった。


わたしのあとを追い掛けてきた健ちゃんの足元に、プレゼントが転がり止まった。


健ちゃんがそれを拾い上げる。


「これ、もしかして、プレゼント?」


わたしは、健ちゃんを睨み付けてプレゼントをひったくった。


包装紙が豪快に破けた。


こんなもの、買わなければよかった。


わたしは、キッチンのゴミ箱にプレゼントを投げ捨てた。


叩き付けるように、捨てた。