恋時雨~恋、ときどき、涙~

果江さんが帰国したあの日から、毎日。


やっぱり、果江が好きだ。


だから、別れよう。


いつ、そう言われるか、いつか、そう言われる日が来るんじゃないか。


毎日、そればかりだった。


健ちゃんに訊いてみたくて、たまらなかった。


本当は、果江さんのことが、まだ好きなの?


でも、それを訊いてしまったら、本当に健ちゃんがわたしから離れていくような気がして、怖くて確かめることができなかった。


怖い顔で何も答えない健ちゃんに、わたしは伝えた。


〈毎日、そう思ってた。健ちゃんは、本当は、果江さんのところに戻りたいんだって〉


わたしの両手が震えていた。


健ちゃんの両手も、わたしに負けないくらい震えていた。


「毎日、そんなつまらないこと、考えてたのか」


頭に血がのぼった。


〈つまらないこと? 全然、つまらないことじゃない〉


健ちゃんも、わたしを睨んだ。


「真央も、嘘つきだんけ」


〈わたし?〉


健ちゃんが頷いた。


「信じるって言ってるけど、全然、信じてくれてねんけ」


健ちゃんの手話は、冬の荒れ狂った高波のようにがさつだった。


「結局、おれのこと、信じてねんけ」


冷たい手話だった。