恋時雨~恋、ときどき、涙~

やっぱり、障害者と付き合っていくのは、結局、しーを苦しめるだけだと思うから。


しーの両親だって、反対するだろう。


でもね、しー。


ぼくにとって、しーは、一世一代の恋だったんだ。


それは、嘘じゃない。


〈信じてくれる?〉


そこまで手話をして一度とめると、静奈は目に涙を浮かべながら、何度も何度も頷いた。


わたしと静奈の間を、快速特急列車が通過した。


静奈の両手が動いた。


「信じるよ」


わたしは頷いて、手話を続けた。


順也の気持ちが、わたしの両手に乗り移ったのだろうか。


手はかじかんで痛いくらいなのに、とてもスムーズに動いてくれた。


〈しーは、どこへ行って、何をするつもりなの? いつか、ぼくの事も忘れてしまうのかな〉


忘れてくれてかまわない。


でも、どうか、幸せになって欲しい。


それだけは、お願いします。


いい人と巡り逢って、結婚して、幸せな家庭を築いて、一生、大切にしてください。


〈しー。生まれ変わっても、しーでいてください〉


そこまで手話をした時、健ちゃんがわたしの膝を叩いた。


下を見ると、健ちゃんが右方向を指差していた。


ずっと向こうに、新幹線が見える。