恋時雨~恋、ときどき、涙~

新幹線専用のホームを、凝視してみる。


東京へ出張か何かなのだろう。


スーツにコートを羽織ったサラリーマンや、キャリアウーマンのようなきれいな女性が、大きな荷物を手に立っている。


わたしは息をついた。


始発じゃないのかもしれない。


そもそも、静奈は「明日発つ」と昨日は言っていたけれど、本当だろうか。


でも、そんな事をいちいち嘘をつくような静奈ではない。


健ちゃんが、わたしの肩を叩いた。


「いないみたいだんけ。次の新幹線かもな」


そうかもしれない。


でも、諦めきれなくて、もう一度、新幹線のホームを見た時、目の前のホームに寝台列車が滑り込んできた。


おかげで、新幹線のホームが見えない。


健ちゃんがわたしの肩を叩いた。


「改札口で待ち伏せしようか。始発じゃないかもしれねんけ」


わたしは頷いて、フェンスから手を離した。


その時、寝台列車が加速しながらホームを出て行った。


わたしは背中を丸めながら、ホームに背を向けて歩きだした。


その時、わたしの背中に何かが当たった。


雪玉だ。


健ちゃんが投げたものだった。


わたしは振り向き、健ちゃんを睨み付けた。