恋時雨~恋、ときどき、涙~

順也を慰める言葉さえ、わたしには見つけることができなかった。


健ちゃんが、わたしの肩を叩いた。


「そろそろ行かないと、始発が出るんけ」


わたしは頷いて、順也から預かった封書を握り締めた。


車に乗り込んだ頃にはもう、朝日がこの町をまんべんなく照らし始めていた。



朝焼けがきれいな日は、何かが起こるような気がする。


なのに、少し、切なくなるのはなぜだろうか。


朝焼けの色は、夕焼けと同じ色だからなのかもしれない。


加速する車に身をゆだねる。


静奈に、会うことはできるのだろうか。









駅に到着した時には、もう、5時50分をまわっていた。


早めに出てきたつもりが、雪道で軽い渋滞にはまってしまったのだ。


車を飛び降りて、わたしはホームの横のフェンスに走った。


健ちゃんも後を追ってきて、フェンスに飛び付く。


ホームは4つあって、一番奥には高校生や通勤のサラリーマンたちがずらりと並んで電車を待っていた。


そのひとつ手前のホームはがらんとしていて、人影はない。


寒い。


朝の雪混じりの北風が、殺風景なホームを吹き抜けていく。