恋時雨~恋、ときどき、涙~

「それ、何?」


〈新幹線の時刻表。明日、静奈を引き止めに行こう〉


順也が目を丸くした。


でも、すぐに肩をすくめて首を振った。


「もう、いいよ。もう、どうにもならない」


順也は苦笑いしながら手話を続けた。


「どんなに止めたって、しーは戻って来ないよ。しーは、そういう女だよ」


それは、わたしも思ったことだ。


でも、わたしは諦めきれなかった。


〈順也は、これでいいの? 後悔しない?〉


「しないよ」


嘘だ。


順也の顔が、後悔ばかりだ、と言っているように見えた。


だから、もどかしくて頭にきた。


わたしは乱暴な手話をした。


〈じゃあ、後悔して生きていけばいい。わたしは、絶対、会いに行く。引き止める〉


無理だよ、とでも言いたげに、順也が肩をすくめて笑った。


悲しい笑顔も、この世の中にはあるのだと知った。


「明日、仕事で朝早いから寝るよ。おやすみ」


そう手話をして、順也はカーテンの向こうに姿を消した。


わたしは悔しくて、しばらくの間、窓のさっしを握りしめていた。


でも、やっぱり、順也も諦めきれなかったのだ。