恋時雨~恋、ときどき、涙~

〈どうして?〉


「空港に行ってきた。静奈ちゃんの名前での予約は、一切入ってなかった。もし、本当に明日発つ気なら、新幹線だと思うんけ」


少し、本当に小さく、希望の光が見えたような気がした。


でも、時間が分からないのは変わらない。


例え、発車時刻を知ることができたとしても、行って、どうすればいいのかも分からない。


引き止めても、静奈は行ってしまうだろう。


わたしには、分かるのだ。


静奈はああ見えて、意地っぱりなところがある。


意思を変えるとしたら、何か相当大きなきっかけでもない限り、無理だろう。


順也があそこまで気持ちをぶつけても、静奈の決意は崩れなかったのだから。


わたしは、肩をすくめた。


〈無理だよ。もう、どうにもならない〉


健ちゃんが、わたしの両頬をつまんで横に引っ張った。


「また、そうやって諦める。真央の悪い癖だんけ」


まだ、やれることはあるんけ、と健ちゃんの唇が動く。


わたしは、健ちゃんの両手をじっと見つめた。


「明日、駅に行こう。発車時刻、調べてきたから。朝一番から全部、片っ端から探すしかねんけ」


健ちゃんはポケットから一枚の紙を取り出して、わたしに手渡してきた。