恋時雨~恋、ときどき、涙~

体じゃなくて、心がでっかい男だ。


順也も辛かったのに。


歩けなくなった事を知り、大切な恋人を自ら手離して、辛くて苦しかったくせに。


それでも、静奈の優しさを受け入れる順也は、でっかい男だと思った。


わたしは、知っている。


順也がどんな気持ちで、リハビリに励んだのか。


そして、どれだけの努力を積んで、やっとここまで立ち直れたのかを。


静奈が、雪の上に泣き崩れた。


順也が、静奈の肩を叩く。


「もう一度、やり直せると思うんだ。ぼくたち。もし、しーがいいと言ってくれるなら」


順也の手話を見つめていた静奈が、突然、立ち上がった。


「私、今でも順也が好きだよ。でも、もう、遅い」


静奈の目から、ぽろぽろと涙がこぼれる。


順也が悲しい顔をした。


「ぼくが、障害者だから?」


そう言って、順也は両足にそっと触れた。


静奈が首を振った。


「違う。歩けないとか、そういうのは関係ない。ただ」


「ただ?」


順也が訊くと、静奈が手話をしながら涙をこぼした。


「私、この町を出ることにした。明日、発つことにした」


順也が愕然として、固まってしまった。