恋時雨~恋、ときどき、涙~

「全然。めんどくさくねんけ」


ライオン丸の目が、うんときらきらしている。


わたしは、不意に笑ってしまった。


へんな人だ。


だけど、なんて真っ直ぐな人なんだろうか。


「笑った。友達になる?」


こんなふうに無防備に笑う男の人に会ったのも、初めてだ。


わたしは握っていた木の棒を、砂の上に落とした。


そして、ライオン丸からそっとスマホを取り返して、小さく頷きながら笑った。


「ほんとう?」


ライオン丸が、ぱっと笑顔になった。


「よろしく。真央」


いきなり、人を呼び捨てにし、わたしの両手を握って上下に激しく振るこの人を、子供のように無邪気だと思った。


「おれの事は、けんちゃん、て呼んでもいんけな。友達だんけ」


自信満々に言ったあと、ライオン丸は「あっ」と口を開けてそのまま笑った。