恋時雨~恋、ときどき、涙~

何とも言えない、虎視眈々とした空気に押し潰されそうだった。


突然、果江さんが顔を上げた。


何が意を決した覚悟のようなものが、その目には感じられた。


「いいよ。手術、受ける」


「果江」


亘さんがほっとした笑顔になった。


良かった。


わたしと健ちゃんも、目を合わせて微笑んだ。


「でも、条件がある」


と果江さんは、わたしの目を見て言った。


「健ちゃんが一緒にアメリカに来てくれるなら、手術うけてもいいよ。それができないなら、手術はうけない」


「果江。そんな無理なこと言って、困らせるなよ」


亘さんが呆れた顔をして、果江さんの肩を掴んだ。


果江さんは亘さんの手を払って、健ちゃんを見つめた。


「本気よ。別にこの子と別れろって言ってるんじゃないわ。付き合っていればいいじゃない。ただ、一緒に来てって言ってるだけ」


わたしは、健ちゃんを見つめた。


健ちゃんは何かを言いかけて、あっと両手を動かした。


「それは、できねんけ。ごめん。おれは、真央を大切にするって決めたんけ。それ以外なら、力になるから」


もう一度、ごめん、と健ちゃんは添えた。