そうか。
だから、果江、と呼び捨てにしていたのか。
汐莉さんが小さく頭を下げて「ごめんね」と言った。
「本当は、果江、帰国しないはずだったの。健ちゃんが電話で、好きな子がいるからって、ちゃんと断ったから」
それは、わたしも知っている。
わたしが頷くと、汐莉さんも頷いた。
「でも、親の反対押しきって、帰国してきた。今日、飛行機で来たの。私も亘も知らなかった」
〈どうして、果江さんは何も連絡なしに帰ってきたの? やっぱり、健ちゃんを忘れられないの?〉
そう手話をして、横にいる順也に〈訳して〉とお願いした。
順也の唇が動き終わると、汐莉さんが肩をすくめた。
汐莉さんは息を込んだあと、真っ直ぐにわたしを見つめた。
「果江が心臓の病気なのは、分かるよね」
わたしも順也も頷いた。
「できるだけ早く、手術うけなければいけないんだって。でも、その前に、健ちゃんに会いたくて、どうしようもなかったって」
そう言って、汐莉さんはリビングを見つめた。
わたしには、その勇気が出なかった。
果江さんと話をする健ちゃんの表情なんて、見たくなかった。
突然、汐莉さんが鋭い目付きで振り向いた。
だから、果江、と呼び捨てにしていたのか。
汐莉さんが小さく頭を下げて「ごめんね」と言った。
「本当は、果江、帰国しないはずだったの。健ちゃんが電話で、好きな子がいるからって、ちゃんと断ったから」
それは、わたしも知っている。
わたしが頷くと、汐莉さんも頷いた。
「でも、親の反対押しきって、帰国してきた。今日、飛行機で来たの。私も亘も知らなかった」
〈どうして、果江さんは何も連絡なしに帰ってきたの? やっぱり、健ちゃんを忘れられないの?〉
そう手話をして、横にいる順也に〈訳して〉とお願いした。
順也の唇が動き終わると、汐莉さんが肩をすくめた。
汐莉さんは息を込んだあと、真っ直ぐにわたしを見つめた。
「果江が心臓の病気なのは、分かるよね」
わたしも順也も頷いた。
「できるだけ早く、手術うけなければいけないんだって。でも、その前に、健ちゃんに会いたくて、どうしようもなかったって」
そう言って、汐莉さんはリビングを見つめた。
わたしには、その勇気が出なかった。
果江さんと話をする健ちゃんの表情なんて、見たくなかった。
突然、汐莉さんが鋭い目付きで振り向いた。



