恋時雨~恋、ときどき、涙~

細く華奢な指が、健ちゃんの服を強く握り締めていた。


白くて、繊細な指だ。


こんなにきれいな指を見たのは、初めてだった。


汐莉さんが、わたしの肩を叩いて微笑んだ。


「不安になること、ないからね。健ちゃんを、信じてあげてね。お願い」


わたしは頷いた。


でも、本当は、なぜ頷いたのか自分でも分からなかった。


目の前で泣きながら抱き締め合う2人を見て、わたしはどうすればいいのか分からなくなった。











順也がやって来たことをきっかけに、わたしたちはふた手に別れた。


わたしと順也と汐莉さんは、キッチンのテーブルに座った。


誰も、一言も話そうとしない。


リビングでは、健ちゃんと、亘さんと果江さんが向かい合って話をしている。


果江さんは写真で見るよりも、遥かに美しい人だった。


順也が、わたしの肩を叩いた。


汐莉さんの事を指差している。


「汐莉さんが、呼んでるよ」


わたしは、汐莉さんの唇を真剣に読み取った。


「私と果江は、中学の先輩後輩の間柄なの。果江は、私の、先輩」