恋時雨~恋、ときどき、涙~

でも、わたしには十分、幸の気持ちが伝わってくる。


いつも明るく笑っている幸が、泣いてばかりいたから。


帰り際、幸がわたしに教えてくれた。


わたしは、耳が聴こえない分、たくさんの文章に出逢い、支えられてきた。


でも、どんなに泣ける小説より、どんなに優しい詩よりも、深く心に突きささった。


幸の手話は、わたしの心を激しく揺さぶった。






この世界には、出逢いと別れがある。


せやけど、別れの方が多いんやで。


死よりも辛くて苦しい別れが、この世界にはあんねや。


それは、愛してる人を忘れてまうことや。


記憶から、想い出も何もかも消してしまうことや。


忘れたくないのに忘れてまうのは、それは、しゃあないことや。


せやけどな、記憶から無理矢理、愛してる人を消そうとするんは、自殺と同じや。


あかんわ。


そんなん、絶対にあかん。


せやから、真央も彼氏には素直に気持ち伝えとかなあかんで。


常に、伝えとかなあかん。







幸の言葉ひとつひとつに、胸が熱くなった。